無題 1

書写書道教育とは?

「全国大学書写書道教育学会」は、「書写書道教育」の研究を研究する学会として今さら説明の余地もないものではありますが、世間から見ますと実はあまりよく理解されていないように思っています。それは例えば次のような疑問があります。

1、書写と習字はどこが違うの?
2、書写と書道とはどう違うの?

大きなものを挙げると、上の2つになります。これらについて簡単にご説明しましょう。

1、書写と習字はどこが違うの?

書写は国語の一分野です。

全ての教科は、文部科学省の定める指導の法律である「学習指導要領」の中で「何をするか?」「どのように行うか?」を定めていますが、書写はその中で、国語の〔言語分野〕に置かれると書かれています。つまり、書写は国語の一部なのです。

習字は書写の古い呼び方です。

簡単にまとめると、学校教育では「書写」、書道も書写も教える塾では「習字」と“呼んでいる”と考えると分かりやすいと思います。
歴史的には戦後の間もない頃まで、小中学校に「習字」という教科があったため、現在でもその世代の人が呼んでいて、塾では特に習字という呼び方が定着していると考えられています。

でも書写と習字は全く違うものです。

習字は、書写の古い呼び方ですと言っておきながら、全く違うものだというと大きく矛盾しているように見えます。確かに矛盾した言い方です。しかしそれには大きな理由があるのです。

書写というのは、例えば小学校の場合、「正しく整えて書く」ことなどを目的として進められています。どういうことかと言うと、書写はいわゆる「書写体」と呼ばれる文字の形を用いて、誤りのない正しいコミュニケーションを図るための道具として文字を使う事を念頭に、文字の正しい書き方を教えるものです。

習字は、歴史的には同じものを指していますが、現在は書塾・書道塾を指しています。ですから、書道の準備段階から書道へという意識が強く、書写を教えることはありません。書写で行われるような筆の入り方や止めなどを教えることはなく、書道的な筆づかいを中心に教えることがほとんどです。

2、書写と書道とはどう違うの?

書写は「国語科」、書道は「芸術科」です。

書写は国語科の中であることは先に述べましたが、国語には、「読む・書く・話す」という重要な要素があるのですが、その中で「書く」の部分に対応しています。
書道は、芸術科の「音楽、美術、書道」の3つの内から選択で学ぶことから、「芸術書道」、「選択書道」などと呼ばれたりします。

国語と芸術の大きな違いは?

文字教育

国語の一分野を「文字教育」の観点から説明したのが上の図です。一番の違いは、書写は国語であるということ、書道は芸術であること、ということは前にも述べたとおりですが、特に書写は国語の中にしか無いのが見てわかると思いますが、書道は芸術の中にありながら、国語教科に入り込むような形で幅広い視野を持っていることが分かります。

分かりやすくまとめると、書写は文字を正しく書く教科。書道は文字に芸術性を持たせて書く教科。ということになります。

余談ですが、書道は芸術なので何をどのように教えてもいいかというと、そうではありません。基本的には古典作品を使い、文字の歴史や表現方法を学んだあと、少しずつ芸術表現に触れていくようにしています。全くいい加減な筆法で書くことは言語道断ですし、誤字脱字はもってのほか。「感動」を押し売りするような作品というものも書道とは呼びません。

現代アートの世界では芸術表現はなんでもありというような思想が広がっており、路上詩人やパフォーマンスなど広く行われているようですが、あくまで書道から派生した現代アートの世界であり、古典に根差した「書道」とは少し分けて考えるべきです。すなわち、書道の中にはあらゆる表現やパフォーマンスもあるけれど、それこそが書道なのではなく、古典に根差したクラシカルな書道こそが大事で、それを学んだ上に前衛やパフォーマンスはあるのです。音楽の世界でロックやポップスをやっている人は革新的な音階やリズムを開発しているわけではなく、クラシックピアノやクラシック音楽に学んだ音階やリズムを使うのと同じことです。