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論文の書き方

学部生の方はレポートや発表、そして卒業論文。大学院生は学会発表に論文、最後に修士論文があります。この「論文の書き方」は、それらの論文・レポートの書き方を知ることで抵抗を無くし、よりよい論文づくりに活かしていただきたいとの思いから作ってみました。

論文の種類にはいろいろあります。大きくは、原著論文、解説論文、紀要、アブストラクト(予稿)など。それ以外にも小論文などもそうです。さらに細かく種類がありますが、ここでは実験を伴う論文の書き方と、調べ学習的な論文の書き方の一例を書いていこうと思います。

※論文と書いていますが、実際はレポートと呼ばれるものと書き方は同じです。正しくはレポートをただの報告書と翻訳することが間違っていて、論文のページ数が少ないものをレポートと呼ぶのです。レポートも論文を書くのと同じように書くことが必要です。だらだらと書く感想文をレポート、つまり報告書だと考えている人が多いようですが、大きな間違いです。

論文の書き方の基本

論文の根幹は、論理性です。説得力のことです。そのために必要なのが構成です。論文では主にIMRADという構成をとります。 


IMRAD型とは?

    意味
Title (T) 題名 通常2~30文字で長くても40文字程度。必要に応じてSubtitle(サブタイトル ; 副題)が入る。
Abstract (A) 要約 文章全体の全体の要約
Introduction (I) 提起
&背景
&目的
コンテクストの確立と、問題提起、研究の位置づけを行う。つまり、研究背景や研究目的の説明を通じて、どのような切り口、文脈でどのような問題を論じるのかを設定する。
Methods (M) 方法 研究に用いた方法(実験方法、実験のセットアップ、解析、考察に用いるための理論の概略
Results (R) 結果 研究過程で得られたデータの叙述的な説明を行う。ここで示したデータは、「Introductionで提起した問題への答えとしての仮説」を支える根拠となるものを厳選する。
Discussion (D) 考察
&論証
考察を書く。通常は、「Introductionで提起した問題への答えとしての仮説」(通常は、Discussion Introduntionの少なくとも片方には明示し、Conclusionには必ず記載する)を提示した上で、「Resultsで示したデータや、先行研究の結果」(根拠)と「仮説」の間を結ぶ推論過程(論拠)を記述する。必要に応じて、実験自体の妥当性も論証する。
 Conclusion (C) まとめ まとめ

Wikipedialink


論文とは、「言いたいことを論理的に証明するもの」です。ですからほぼこのスタイル通りに並べていきます。

流れの例

  意味 内容
タイトル   主題として、何を問題として捉えて、どのように導きたいかを分かりやすくまとめる。
はじめに 動機、序文、提起 動機から問題をどのように持ち、何を解決したいか述べる。
背景 先行研究 これまでのその内容について書かれた文献を全て並べて、問題の方向性を明らかにし、何が分かっていて何が分かっていないかを示す。研究の位置づけをしっかりすることが重要。
方法 実験方法 どのような方法で実験するか。方法などを明らかにする。
結果 結果 方法に従って出た結果(データ)を書く。客観性を大事にして確かなことのみを述べる。ここでは主観を持ち込んではならない。
考察 考察&論証 考察する。ここにきてはじめて主観を持ち込む。データに対して一つずつ考察していき、最初にあげた問題の解決に結びつける。必要に応じて、実験自体の妥当性も論証する必要がある。そうでないと、実験のやり方から間違っていたことを指摘されて論文自体が意味をなさなくなる。
まとめ   考察の結果をまとめる。
おわりに   次次へ向けてなど書くことが多い。

こういった流れを持たせることによって、読む側も安心してその一文一文を読み進めることが出来るのです。また、内容が完全に書きあげられていなくても、この流れに沿った要約があれば何を進めていくか一目瞭然です。これを「アブストラクト(要約)」と呼びます。また各章のタイトルだけが書かれていても、全体の流れを追う事が出来ます。卒業論文などの場合では、これを「章立て」と呼ぶことがあります。


論文の世界では、絶対にやってはいけないものがいくつかあります。

後だしジャンケン

最後の最後に重要な資料を出して、いかにも「とても重要なことが解明された」かのように見せることが出来るが、実のところ、最初に提示したら話が終わってしまうために隠していただけ、ということになってしまう。
推理ドラマで、最後の最後に、今まで一度も出てこなかった人が犯人で捕まって解決、というようなパターン。非常に腹立たしい。(個人の意見)

ガラガラポン

くじ引きでガラガラと音を立てながら丸い入れ物を回し、当たりの色つきの球が出る様から付けられた例え。要するに、「やってみたら出た」ということ。論文の世界ではこれを嫌う。なぜなら、通常の論文は、「問題を解決するために実験方法を考える」のであって、「適当にやったらこんな結果が出た」では、「何が知りたいか」「何をすれば何が分かるか」ということについて吟味することができないからである。最終的に「なぜこんな結果になるか分からないが、こんな結果になりました」ということにもなりかねないので注意。

例としては、「子供にこんな授業を行ったところ、とても楽しそうだから意味があると思います。」というようなもの。

これらは、後から見直すと出てくることがありますので、どうしようもないこともありますが、意図的には絶対にしないようにしてください。

 

余談ですが、発表の場でパワーポイントを使う場合、画面に文章を載せる場合は、要約して文字数を減らします。

実験を伴う論文

実験を伴う論文では、実験方法の吟味や、それによって何が検証できるかを、先行研究における実験方法を参考にしながら考える必要があります。 

流れの例

  意味 内容
タイトル   主題として、何を問題として捉えて、どのように導きたいかを分かりやすくまとめる。
はじめに 動機、序文、提起 動機から問題をどのように持ち、何を解決したいか述べる。
実験を行う場合は、なぜその実験を行うか簡単に述べる。
背景 先行研究

(資料提示)
これまでのその内容について書かれた文献の中から、問題を解明するのに必要な部分を全て並べて、問題の方向性を明らかにし、何が分かっていて何が分かっていないかを示す。研究の位置づけをしっかりすることが重要。引用の文章に対して、一つずつ要約を加え、背景の説明をすることが求められる。ただし、主観を入れた解釈はここでは行わない。必要があれば考察でおこなう。

考察に用いるデータは、この「背景」で提示したものと「結果」で出されたものに限る。後だしジャンケンのように後から「実は…」という提示は許されないので注意。
方法 実験方法 どのような方法で実験するか。方法などを明らかにする。
結果 結果 方法に従って出た結果(データ)を書く。客観性を大事にして確かなことのみを述べる。ここでは主観を持ち込んではならない。
考察 考察&論証 考察する。ここにきてはじめて主観を持ち込む。データに対して一つずつ考察していき、最初にあげた問題の解決に結びつける。必要に応じて、実験自体の妥当性も論証する必要がある。そうでないと、実験のやり方から間違っていたことを指摘されて論文自体が意味をなさなくなる。
まとめ   考察の結果をまとめる。
おわりに   次へ向けてなど書くことが多い。

 

調べ学習的な論文

調べ学習的な論文、つまりレポート的、もしくはレポートの延長にある論文では、資料と論証実験方法の吟味や、それによって何が検証できるかを、先行研究における実験方法を参考にしながら考える必要があります。 

流れの例

  意味 内容
タイトル   主題として、何を問題として捉えて、どのように導きたいかを分かりやすくまとめる。
はじめに 動機、序文、提起 動機から問題をどのように持ち、何を解決したいか述べる。
背景 先行研究

(資料提示)
これまでのその内容について書かれた文献の中から、問題を解明するのに必要な部分を全て並べて、問題の方向性を明らかにし、何が分かっていて何が分かっていないかを示す。研究の位置づけをしっかりすることが重要。引用の文章に対して、一つずつ要約を加え、背景の説明をすることが求められる。ただし、主観を入れた解釈はここでは行わない。必要があれば考察でおこなう。

考察に用いるデータは、この「背景」で提示したものと「結果」で出されたものに限る。後だしジャンケンのように後から「実は…」という提示は許されないので注意。

問題を解明するのに必要な資料は、「背景」か「結果」で示す。考察でいきなり提示してはいけない。

※レポートではこの部分の量が全体の量を左右させる。学術論文では、この部分でよほどしっかりと全体の流れや既定の事実などを示さなければならない。
方法 解決方法の提示 どのような方法で問題を解決するか。その方法などを明らかにする。
結果 抽出・調査結果
(資料提示)
方法に従って出た抽出・調査の結果(データ)を書く。客観性を大事にして確かなことのみを述べる。ここでは主観を持ち込んではならない。
考察 考察&論証 考察する。ここにきてはじめて主観を持ち込む。データに対して一つずつ考察していき、最初にあげた問題の解決に結びつける。必要に応じて、実験自体の妥当性も論証する必要がある。そうでないと、実験のやり方から間違っていたことを指摘されて論文自体が意味をなさなくなる。
まとめ   考察の結果をまとめる。
おわりに   次へ向けてなど書くことが多い。

 

最後に

上に流れの例などを書きましたが、これはあくまで一例です。

書写書道教育分野の場合、書写教育・書道教育では実験を伴うものが多く、次に理論研究。書道の場合、人物や書道史についてのものが多いと思います。人物の場合、2人を比較させる場合もありますが、その場合は「背景」をA、B、AとB、の3つに分けたりします。実験が2つある場合は、前後に直列に並べるか、交互に並べて並列させるか、いろいろな方法があります。

知らないのであれば、知っておけばいいことですし、場合場合に合わせ、最適な方法を自分で考えていくことも大事だと思います。

ただ、最後の問題として、実際何をしたらいいのか、そこが分からない、という人が多いと思います。そのため興味はないけれど、仕方なく調べ学習的なものを卒論にすることになってしまう、なんてこともありえます。これまでの研究を、ジャンルごとにまとめ、表にしてみようと思います。やりたいことを見つけるお手伝いが出来ればと思います。次のページをご覧ください。(現在作成中・随時追加)